〜 本格焼酎の効用 〜 


本格焼酎、血栓症予防に効果!!

「酒販ニュース 1998年(平成10年)11月21日」より

溶解酵素活性化、ワインの1.5倍


先月、健康ワインブームでも話題になったテレビ番組「おもいっきりテレビ」
で本格焼酎が血栓症予防に大きな効果があると放送された。
この番組のコメンテーターとして出演した倉敷芸術科学大学・須美洋行教授(医学博士)
に本格焼酎がどうして血栓症予防に効果があるのか、わかりやすく解説してもらった。

――先日のテレビ放送は大変な反響を呼び、酒販店に問い合わせが相次ぎましたが。

「そうですか。出演したのに放送時間も知らされず、VTRももらっていないので、
番組自体がどんな内容で放映されたのか知らないのですが話の主旨は、我々の研究では
本格焼酎に血栓を溶かす効果が顕著に認められる ということが明らかになったということです。
ただ、これは最近の話ではなく、10年も前に発表した研究成果で、
むしろ海外で注目されたのが最近になって国内でも注目されはじめたということです。」

――本格焼酎に顕著に認められるということは、
他のアルコール飲料でも同様な効果はあるということですか。

「そうです。なかでも本格焼酎は他の酒類に比べて非常にはっきりと認められた
ということです。」

「一般に血栓というと悪者扱いされますが、決して悪者ではなく、それどころか、
体にとって不可欠なものなのです。もちろん作りっぱなしでは血栓症を引き起こすため、
役目を終えた血栓を速やかに溶かすことが必要で、健康な体の中では常にそのバランスが
保たれているわけです。」

――血栓はどんな役目を果たしているのでしょうか。

「端的にいうと、出血部分を固めることです。指を切って血が出るといったことではなく、
私たちの体は常に体内で出血の危険にさらされているのです。例えば肺の毛細血管では
赤血球が血管とこすれ合いながら流れていて、血管を通して酸素を取り込んでいるのですが
物理的には非常に無理なことをしていて、血管は常に消耗しているわけです。
そうして少しでも出血すると血栓が固まって出血を止め、その間に血管を修復するわけです。
ですから血栓が無いと出血が止まらず、最後には死んでしまいます。」

「一方、役目を終えた血栓がいつまでもそのままだと、血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞
などの血栓症を引き起こすので、速やかにこれを溶かす必要があります。血栓症は、
血栓を作る作用が大きすぎるのではなく、逆に溶かす力が弱まったために引き起こされる
病気なのです。ですから、 日常的に血栓溶解酵素の活性を高めることが、血栓症の予防に
なるわけです。」

――最初から本格焼酎に注目されたのですか。

「アルコールが虚血性心疾患に効果があるということは世界的に疫学データで確認されて
いたので、アルコールには注目していました。たまたま宮崎の大学で研究していたので、
本格焼酎が身近にあってしかも安いためデータがたくさん取れたということで、
はじめから注目していたわけではありません。ところが実験を重ねると本格焼酎が他の酒類
に比べて顕著に効果が高いので驚きました。いろいろな種類のお酒を被験者に飲んでもらって
一時間後に血液中の血栓溶解酵素の濃度を調べたデータがありますが、
本格焼酎を飲んだグループは、ワインに比べても約1.5倍になっています。」

「残念ながら、お酒のどんな成分が血栓溶解酵素の活性を高めるのかまでは特定できて
いません。また、ウイスキーについては他の酒類に比べてデータ自体が少ないという
問題もあって、将来、訂正することになるかもしれませんが、 いずれにしても本格焼酎の
効果が飛びぬけていることはまちがいありません。」

「私たちの実験では、ブタの耳を材料にさまざまな物質を投入して血栓溶解酵素の変化を
調べるのですが、アルコールだけを与えても量が増えます。アルコールの不純物を入れると
もっと増える、そして本格焼酎を入れると先ほどのデータからも想像されるように
どんと増えるのです。ということは、どうやら揮発成分ではなく、蒸留残部、
つまり沸点が高く蒸留してもそのまま蒸留液の中に残る フーゼル油などの成分が原因のようだ
というところまでは分かってきました。」

――飲めば飲むほど効果が上がるというものでしょうか。

「もちろんそんなことはありません。個人差が大きく一概にはいえませんが、
普通にいわれているのは 純粋アルコール量で一日当たり30ml程度 が適当だということです。
60mlを超えると飲む前と変わらなくなる、つまり効果がなくなります。
マーモットのU字曲線といわれるものです。ですから 15℃のお湯割で飲むとすると、
一日一合から二合程度が適量ということになります。」

――「百薬の長」も加減が必要だということですね。

「それはそうなんですが、これまでの日本のアルコール医学はその害、端的にはアル中問題
にどう対処するかということに集中するきらいがありました。しかし世界的には健康への影響
を広く探るという方向で、もちろんアル中問題も研究します、同時に虚血性疾患などへの
好影響をも重要な研究テーマとしてきています。」

【須見洋行=すみ・ひろゆき】
 山梨大学工学部発酵化学研究施設で、ブドウの各種酸の酵素学的研究を行う。
その後、徳島大学医学部を経て血栓溶解酵素の研究に従事。
宮崎医科大学で本格焼酎と血栓溶解酵素の研究を行い、一九八八年に
「アルコール飲用後の血栓溶解酵素活性について」を英国の医学雑誌に発表。
本格焼酎に高い効果が認められることに、海外で注目を集めた。
現在、倉敷芸術科学大学産業技術学部教授。酒類だけでなく発酵食品全般にわたって
同様なテーマで研究活動を行い、納豆の血栓容易化酵素活性作用の研究でも第一人者。

フーゼル油とは・・・
焼酎を造る際に現れる成分で、旨味成分を多く含む。
しかし、焼酎の中に多くありすぎると商品化が難しく、通常は濾過で調整しながら若干取り除く 
昔ながらの蒸留方法の「常圧蒸留酒」 の方がフーゼル油は多く含まれる。

常圧蒸留酒はこちらから(^−^)/
 
蒸留とは?
加熱→気化→冷却→液化させ、高濃度アルコールに濃縮することです。アルコール水溶液を
加熱するとアルコール濃度に応じた一定温度で沸騰し、その時発生する蒸気のアルコール濃度は
元の水溶液(母液)より高くなります。このため、その蒸気を冷却液化すれば母液よりアルコール
濃度の高い液体が得られます。

もろみ量の40%の留液(蒸留した後の液体)をとれば実際上、アルコールの全量を回収した
ことになるので、アルコール濃度は2.5倍になります。すなわちアルコール濃度14%のもろみ
を蒸留すれば得られる焼酎のアルコール濃度は35%となります。

どうやって蒸留するの?
装置は蒸気吹込み式の単式蒸留機(ポットスチル)を用います。最近では蒸留効率を
高めるため、装置内を減圧にし、より低い温度で蒸留できる減圧蒸留機が使われています。
常圧蒸留を行えば原料の持つ風味が製品に移行し、減圧蒸留では製品の風味は軽く仕上がります。 

 もろみを入れる蒸留タンクは600〜1,000リットルの鉄タンクです。(もろみは、
2次タンクから蒸留タンクへポンプにてホース移送されます。)蒸留タンクを蒸気で加熱し、
発生した気化アルコールは、タンク上部にある“うま(わたり)”と呼ばれる導管に
よって冷却機に導かれます。  蒸留の最初に出てくる留液(初留、初垂“はなたれ”)は
アルデヒド、エステル、フーゼル油が多く含まれ、焼酎としての品質が悪いので、当社では
再蒸留を行っています。また、蒸留の最後に出てくる留液(後留、末垂“すえだれ”)は
フルフラールが多いので、留液のアルコール濃度が 5〜10%になれば蒸留を打ち切ります
(アルコール濃度チェックの様子)。1回の蒸留に 3〜4 時間を要します。 

焼酎の完成だ!
蒸留直後の焼酎は高級脂肪酸のエチルエステルが白濁したり、油状になって浮遊
しています。エチルエステルが不溶性だからです。油状エステルのうちリノール酸エチルは
空気酸化を受けて油臭を発生するので、10℃いかに冷却した後、ろ過して除去します。また、
ガス臭と呼ばれるイオウ系の臭いがありますが時間の経過とともに消失します。
 また、活性炭処理して軽快な香味を得る方法もあります。製品のアルコール濃度は 
0,25%のものがほとんどです。当社では、さらに独自のろ過技術(製品ラインナップの
ページ参照)に通すことにより、口当たりの良いまろやかな焼酎に仕上げています。 
 一定期間、貯蔵タンクで貯蔵させた後、瓶詰めラインで瓶詰め、打栓、レッテル貼りが
自動で行われ出荷されます。通常、蒸留後2〜3ヶ月で出荷されますが、最近では長期貯蔵
により味の熟成を図り、高付加価値製品として販売するケースが増加しています。 
 昔は一升瓶の配送には、重さ約 4 kg の松の木箱(10本入りで総重量約 
32 kgにもなる)が用いられていました。しかし、メーカー、卸、小売の従業員の重量運搬時
の椎間板障害などの問題で、最近では6 本入りプラスチック製運搬容器(約 2 kg,
6 本収容で約 14 kg)が使用されています。 

アルコールが飲めない人にも効果的!
アルコールをとばしても同様の効果が! 
 アルコールが飲めない人もご安心ください。実は、本格焼酎の血栓予防効果は、
アルコール以外のところにあります。つまり、本格焼酎を沸騰させてアルコールを
とばしても同様の効果が得られるのです!調理酒として使っても良いですね。






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